Topics 2002年9月11日〜20日     前へ     次へ


12日 Maryland州第8選挙区
13日(1) アメリカ国民も長寿化
13日(2) 労働組合幹部の報酬


12日 Maryland州第8選挙区 Source : Quietly, Democrats Rally to Van Hollen (Washington Post)
「Topics 9月10日(1) コンピュータ投票」で、Maryland州第8選挙区のprimary electionの模様を記したが、昨日、その結果が出た。大方の予想を覆し、Christopher Van Hollen Jr.が、僅差で民主党候補の座を勝ち取った。

僅差で破れた、Mark K. Shriverは、伯父に上院議員Edward M. Kennedyを持つ、Kennedy一族であり、多くの労働組合からの支持も得ていた。Van Hollenは、これに対して、Maryland州議会議員12年の経験を、徹底的な草の根運動でアピールしたとのことだ。

今後は、現職の共和党Constance A. Morella女史との一騎打ちになる訳だが、候補上記Sourceによれば、Maryland州第8選挙区の結果は、下院のmajorityをどちらの党が握るかを左右する重要な選挙区と目されており、共和・民主両党とも、最後の追い込みに力を入れてくるそうだ。上記Sourceによる、両候補の分析のポイントは、次の通り。
  1. 資金力:Morellaは、170万ドル近くの選挙資金を準備しているのに対し、Van Hollenには、わずか10万ドルしか残されていない。
  2. 党員の結束力:候補の指名争いがなかったMorellaに対し、Van HollenとShriverは、激しい論争を展開していた。また、多くの党幹部はShliverを支持していたことから、民主党の結束がどこまで回復できるかが課題。
  3. 住民:ホワイト・カラーが圧倒的多数を占める選挙区であり、仮に労働組合が全力を挙げてVan Hollen支持に回ったとしても、それほど大きな影響力はもたらさない。ただし、人海戦術には役立つだろう。
  4. 選挙区の変更:Maryland州議会は、民主党がMajorityを握っている。その州議会が、今年第8選挙区の区割りを変更した。第1に、強力な保守地盤であるMontgomery County北部を切り離し、民主党支持の多いSilver Spring、Takoma Parkなどの地域を加えた。さらに、アフリカ系アメリカ人が多く住む、Prince George's Countyの西部地域を併合した。最後のPrince George's Countyの西部地域は、Shriverに有利なように仕組んだものであり、確かにVan Hollenの得票は少ない。しかし、全体として、Morellaに不利になったことは間違いない。
上記の3と4が、どのように影響し合うのか、今後のキャンペーンが注目されるところである。ちなみに、両候補とも、キャンペーン用のWebsiteでは、Spanish版を用意している。

13日(1) アメリカ国民も長寿化 Source : Health, United States, 2002
12日、アメリカ厚生省は、2002年版医療統計年報を公表した。主なポイントは次の通り。
  1. 過去50年間で、児童、若年者(24歳以下)、25〜64歳の死亡率は、半減した。また、65歳以上の死亡率は3分の1となった。
  2. 2000年の平均寿命は、76.9歳(男74歳、女80歳)と史上最高となった。1世紀前は、男48歳、女51歳に過ぎなかった。
    • 日本は、2000年時点で、平均寿命は、男77.64歳、女84.62歳。アメリカの平均寿命は、日本の1980年頃のレベル。
  3. 乳児の死亡率は、1950年と比較して75%も減少した。2000年は、1000人中6.9人と、これも史上最低となった。
    • 日本の乳児死亡率は、1999年で3.4人と、アメリカの約半分。
  4. 2000年時点で65歳の平均寿命は、男81歳、女84歳。
    • 日本は、2000年時点で、男82歳、87歳。男は大きく異ならないのに対して、日本の女性の平均余命が長いのが特徴。
  5. 白人と黒人の平均寿命の差は、6歳白人の方が長い。1990年の7歳よりは、格差が縮小した。
  6. 1990年代、黒人とヒスパニックの15〜24歳の殺人による死亡率は、ほぼ半減した。
  7. 成人の喫煙率は、1965年の40%から、2000年には23%に低下した。中卒の喫煙率は、大卒の3倍に達する。
  8. 20〜74歳のうち、5人に3人が体重オーバー、4人に1人が肥満と考えられる。
  9. 2000年の国民医療費は1兆3,000億ドル、GDPの13.2%に相当する。そのうち、約3分の1が病院代、約5分の1が医師代、約10分の1が処方薬代となっている。処方薬代は、1995〜2000年で、年平均15%で増加している。これは、他のコストよりも高い伸びとなっている。
    • 日本の国民医療費は、1999年度で、30.9兆円、国民所得比で約8.1%。やはり、アメリカの医療コストの方が、かなり高いようだ。
  10. 入院日数は、依然、減少傾向にあり、2000年は平均4.9日に過ぎない。20年前は、およそ7日であった。全手術の63%が、外来扱いで行われており、当日帰宅している。10年前は約半数が外来扱い、20年前はわずか16%が外来扱いであった。
    • 日本の平均在院日数は、39.8日(1999年)と、アメリカの8倍強という長さだ。社会的入院という現象もあったにしても、かなり長すぎる。
  11. 公的医療保障プログラム(主に、Medicare、Medicade)が、国民医療費の43%をカバーしており、35%が民間保険がカバーしている。

13日(2) 労働組合幹部の報酬 Source : Multiple Salaries Rise; More Officials in Club (TDU)
伝統のある強力な労働組合、Teamsters幹部の報酬が、毎年公表されている。これは、Teamsters傘下の「Teamsters for a Democratic Union」というところが、これまで20年間、毎年発表してきたものである。

題して「The $100,000 Club」(pdf)となっており、Teamstersの役職に伴う報酬が10万ドルを超えた幹部の名前と報酬額がリスト・アップされている。会長である、James P. Hoffaは、総額$272,096を受け取っており、ランク6位だ。トップは、Frank Wsolで、総額$298,005の報酬を得ている。

TDUの分析によれば、2001年のリストアップ者は225人、2000年は199人であった。Hoffaが会長になる前の3年前は、144人しかいなかった。3年間で実に58%も増加した。このリストアップ者225人のうち、25人は$200,000以上を得ている。また、69人は、複数の役職から、報酬を得ている。

総額3,260万ドルが、225人に支払われており、仮に、225人全員を一律10万ドルの報酬とすれば、Teamstersの活動費は、3倍に増額できるとも指摘している。

これに対して、Teamstersのspokesmanは、報酬はすべて組合員により決められており、問題はないとしている。このような数値を見て、Teamstersの組合員やその他の労組の組合員が、どのように感じるだろうか。いくらサラリーは組合員が決めたといっても、複数の役職を兼ねることでそのサラリーが倍々になっていくことに、納得する人は少ないだろう。

Teamsters傘下のTDUが、このような数値を公表できるのは、労働省により、労働組合の資金報告書が公開されているためである。これまでは、労組や地域の労働省支部でなければ、このような報告書が見られなかったが、今年からは、労働省のWebsiteから見ることができる。従って、今後は、他の労働組合でも、TDUのような調査を行うところが出てくるのではないだろうか。労働組合活動の透明性を高めるという、1959年のLandrum-Griffin Act(「Topics 6月13日(2) 労働組合の情報公開」参照)は、今ようやくその効果を発揮しようとしている。
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